【転生したらスライムだった件】第16巻第71話~74話まで!ミリムがマリオネットに!

転スラ

今回は【転生したらスライムだった件】第16巻第71話~74話まで!ミリムがマリオネットに!について紹介したいと思います。

前回、魔王ミリムの手によって、魔王カリオンが倒されてしまいました。

ミリムはクレイマンに完全に操られていると言っていいでしょう。

リムルは魔王化を果たし、今後の対応を決めなければなりません。

もちろん、ミリムの動きなど考慮し、打倒クレイマンへと動くと思われます。

大きな問題を複数抱えているテンペストがどう動くか、注意して見てきましょう!

 

 
 

 

【転生したらスライムだった件】第71話「解き放たれし者」ネタバレ感想

魔王としての宣言

「さて諸君、今後のことを語る前に言っておきたいことがある。俺は名実ともに魔王になることにした。」

魔王へと進化を果たしたリムルは、配下に宣言します。

ですが、言われた配下たちはきょとんとしています。

それも当然で、先日魔王化したのも全員が知っていることなので、今更何を言っているのか?と考えているのです。

リムルの言葉の真意は、真なる魔王にはなっていますが外に向けて宣言をしていないので、外に向けて宣言、つまり、十大魔王に名乗りを上げよう、ということなのです。

当然、言われた側はその理由が気になるので、ベニマルが代表して聞いています。

リムルの返答は、喧嘩を売りたい魔王がいるから、とのことです。

その相手とは魔王「クレイマン」のことです。

クレイマンは連合軍の襲撃の際、ミュウランを操り被害の拡大を目論んでいました。そのうえ、ミリムを使い友好国ユーラザニアを滅亡させています。

リムルからすると、何が目的で暗躍しているのかわかりませんが、許すことはできません。

「俺はクレイマンを叩く。異論はあるか?」

問いかけられた言葉に対し、リムルの配下達は疑問や戸惑いの表情は一切無く、満場一致で賛成の意思を示しました。

方針が決まったところで、リムルはソウエイに声をかけます。

その一言で全てを察したソウエイは、速やかにクレイマンの情報を集めに行くと告げ、その場から立ち去っていきました。

本格的な今後の会議はソウエイの調査のあとになるようです。

その会議には、獣王国ユーラザニアの三獣士にも参加してもらうつもりのようで、その有無を聞くとその場で快諾していました。

それは、テンペストの今後の動きがユーラザニアの国民にも大きく関係するのもありますが、避難民の受け入れなど恩があり、リムルへと少しでも恩を返したいという思いがあるようです。

「好きなように使ってください。俺たちはこの命を以って貴方に報いましょう。」

以前、カリュブディスの件でリムルに大恩ができた黒豹牙フォビオを筆頭にリムルの役に立つ、と宣言しました。

復活

話し合いも一段落したところで、リムルは個人的な用事があると周囲に告げます。

付き添いも断り、以前ヴェルドラが封印されていた洞窟へと一人で向かっていきました。

現在は、回復薬の元のヒポクテ草製造の場所に着くと、担当しているガビルが出迎えにやってきました。

こちらで作業していたがビルですが、先ほどのプレ会議の内容は思念伝達により受け取っています。

その関連で、今後はガビルに開発部門を任せ、これからは幹部になるので重要な会議には必ず出席するように告げました。

「やったー!!ガビル様昇進だー!!」

数秒固まった後、喜びを表現しようと言葉が出かけましたが、背後で盗み聞きしていたガビルの配下達のそれ以上の声にかき消されてしまいました。

幹部昇進の報告も終えたことで、洞窟に来た本来の目的を果たすため、リムルは洞窟の最奥へと向かいきます。

ガビルに誰も近づけないようにと命じますが、幹部昇進で浮かれすぎて、見張りが疎かにならないか不安です。

なにせ、リムルの目的は「無限牢獄」にて捕らえられ、リムルの中で復活の時を待っていた、暴風竜「ヴェルドラ」を開放することなのです。

ヴェルドラはジュラの大森林における守り神のような存在で、かつ、強大な力を持っているので、復活が知れると大騒ぎになってしまうので、そのための配慮でした。

「今、出してやるよ・・・ヴェルドラ。」

智慧之王「ラファエル」のスキルに無限牢獄の解除を命じます。

リムルの中から、ものすごい速さで何かが飛び出し、周囲の岩にはその衝撃で亀裂が入り、土煙が舞います。

土煙が落ち着いてきた頃、場には高らかな笑い声が響き渡ります。

「俺様復活!!」

その圧倒的な存在感にリムルはこの世界に来たばかりのことを思い出し、懐かしくなりました。

久しぶりの再会に頬を緩めつつ、軽く挨拶をしますが当の本人は不服そうです。

「せっかく復活したのに我の扱い軽くないか?」

少し拗ねたような表情で、相変わらず面倒くさい態度のオッサンです。

しかし、出会った頃の話だとヴェルドラの復活は当分先のはずでした。

それが早まったのは理由は、リムルが魔王化しユニークスキル「大賢者」がアルティメットスキル智慧之王「ラファエル」へと進化したからなのです。

その結果、解析能力が格段に上がったので無限牢獄の解析も早く終わったのでした。

その経緯をヴェルドラに説明しますが、ヴェルドラは余り驚きません。

それもそのはず、ヴェルドラはリムルの中からその行動をちょくちょく覗き見していたので大筋を理解しているのです。

そんな話をしながらも、実に二年ぶりに再会した二人は感傷に浸っています。

出会ってからたった二年で覚醒魔王にまでのぼりつめ、リムルの成長ぶりにはさすがのヴェルドラも驚きです。

「ま、なんて言うの?ほら俺って天才っぽかったじゃん?仲間にも名前を付けると一気に進化してたしね。」

冗談交じりに話すリムルですが、その話にヴェルドラは少々ご立腹でした。

「このアホウめ。お前がホイホイ名付けても無事だったのは足りない分の魔素を我から奪っておったからなのだぞ。」

リムルのことを思っての叱責で、そのことが原因で無限牢獄の解析の効率が落ちるから解放はまだ先だと思っていたのもあるようです。

というか、リムルが今まで無茶な名付けを行っても平気だったのはヴェルドラのお陰でした。今までリスクもなく、あれだけ簡単に進化できるのはおかしい、とリムルも薄々思っていたようです。

陰で支えてくれていたヴェルドラに感謝しつつ、今後は控えようと決心するのでした。

そういえば、リムルの魔王化に伴い、魂の系譜に連なる者には祝福「ギフト」が配られているはずです。

それならば、リムルの中にいたヴェルドラにもギフトが届いてもおかしくはないので、問いかけます。

リムルから確認を受け、ようやく気づいたヴェルドラに内心、象並みに物事に気づくのが遅いやつだとリムルは呆れています。

二年ぶりの再会に話が盛り上がり、いつまでも話し込んでしまいそうな雰囲気ですが、せっかく復活したのです。

そろそろ外に出ないか?とリムルは提案します。

ですが、ここで一つ問題があります。

それは、復活の際、思念体となってしまったヴェルドラの肉体をどうするかというです。

本来、精神世界にいる精霊や悪魔、竜種等の精神生命体は肉の体を持たず、その姿を物質界(この世界)に顕現させるには依り代に受肉させる必要があります。

精神生命体が物質体(スピリチュアルボディー)を得ずに物質界に居続けるとエネルギーが拡散し、やがて消えてしまうのです。

まぁ消滅してもまたどこかで復活はするのですが。

ですが、その時になれば記憶がまばらになっており、たとえその存在がヴェルドラという名の暴風竜であったとしてもリムルの盟友のヴェルドラではなくなってしまいます。

リムルが捕食する前には、スピリチュアルボディーを持っていました。あれはヴェルドラ自身が魔素で作り出したものでしたが、リムルの胃袋の中では不要だったので現在は魔素に還元されています。

どうやらリムルは、ヴェルドラにスピリチュアルボディーを与えようと考えているようです。

ですが、その前にリムルは約束を一つ持ちかけます。

それはヴェルドラのでか過ぎる妖気を抑えて欲しい、ということです。

テンペストの町には人間もいますし、弱い魔物もやって来ます。ヴェルドラの妖気はそれだけで害になってしまうのです。

事情を理解したヴェルドラはその約束を快諾し、改めてリムルが「王」になったことを再確認させられました。

「待ってろ。今、用意してやる。」

リムルは手から黒い靄を放出させ、自身の分身体を作成しました。魔王へと進化して、分身も強化分身へと進化を果たしています。

この分身体をヴェルドラの依り代へと使用します。

ヴェルドラも気に入った様子で、勢いよくその分身体へと入っていきました。

「告。重要な報告が発生しました。」

ここでラファエルから急な報告が入ります。

内容はヴェルドラとリムルの間に「魂の回廊」の確立を確認したとのことです。また、ヴェルドラの残滓を解析した結果、アルティメットスキル「暴風之王」(ヴェルドラ)を獲得した、と言うのです。

突然の報告に驚いているリムルを置いて、復活の喜びを表すヴェルドラは、リムルの姿を男性型に特化させたような外見です。

「礼を言うぞリムルよ!再びお前と相まみえる日が、こうも早く訪れるとはな!さすがは我が盟友だ。」

満面の笑みで、礼を告げるヴェルドラにリムルも嬉しそうです。

二年越しの友との再会ははじめて会った時と同じようなノリでした。

だから、強すぎるヴェルドラの気配に町が大混乱になっていたことなど知る由もなかったのでした。

【転生したらスライムだった件】第72話「渦巻く陰謀」ネタバレ感想

暴風竜ヴェルドラ

「解。究極能力(アルティメットスキル)「暴風之王」(ヴェルドラ)の権能は「暴風召喚」、「暴風竜復元」、「暴風系魔法」となっています。」

リムルの新たなスキルの習得を「智慧之王」(ラファエル)が告げます。

ヴェルドラの復活の際、リムルとの間に魂の回廊が確立されました。

その際、ヴェルドラの残滓をラファエルが解析鑑定したところ、このスキルを得られたようです。

妖気を抑える特訓をしているヴェルドラを眺めながら、そのスキルについて考えます。

暴風竜召喚と暴風系魔法はそのままなので、なんとなく察しがつきますが、暴風竜復元とはなんでしょうか?

そう考えていると、ラファエルから返答がありました。

魂の回廊の確立により、ヴェルドラの記憶がリムルに複製されました。それにより、なんらかの要因でヴェルドラが死亡したとしてもリムル次第で復元が可能ということです。

さすがアルティメットスキルといったところで、実質ヴェルドラほどの実力者が不死身なのは敵からしたら脅威です。

そんな話をしていると、ヴェルドラの妖気を抑えるのも大分できるようになっていました。

あと一息頑張れば皆の前に出ても問題ないといったところで、ラファエルから報告が入ります。

「告。系譜に連なる魔物たちの進化が完了しました。「食物連鎖」により貢物(スキル)が大量に届いております。取捨選択して「能力改変」を実行しますか?」

ラファエルの発言にリムルは当然、肯定します。

食物連鎖とは「暴食之王」(ベルゼビュート)の権能の一つです。魂の系譜に連なる魔物たちの能力はリムルに集約し、リムルの力の一部が彼らにも備わる、というものです。

本来自己研鑽の果てに獲得できるかどうかという能力をいきなり大量獲得しても使いこなせるかは別問題ですが、魔王に進化を果たし配下も進化した今、リムルには強力なスキルが多数集まってきています。

先ほどから、さほど時間もたっていないにも関わらず、即座にラファエルはスキルの統廃合を完了させ、ヴェルドラを開放する際に手に入れたユニークスキル「無限牢獄」がアルティメットスキル「誓約之王」へと進化した、と告げました。

能力の統廃合と改変を行う、と聞いていたリムルもアルティメットスキルの獲得を簡単に告げられ、動揺を隠せません。

本来アルティメットスキルどころか通常のスキルを得るのも大変なことなのです。

さらにリムルはそもそも無限牢獄を獲得していたことを知りませんでした。実は能力の統廃合は無限牢獄を基礎にしていることも、そこで判明しました。

淡々と告げるラファエルに気を取り直し、リムルは手に入れたウリエルについて詳細を求めます。

ラファエル曰く、その権能は無限牢獄・法則操作・万能結界・空間支配の四つになります・

改めて、リムルもヴェルドラを閉じ込められるようになってしまった、と実感と共にウリエルの成り立ちを感じ取りました。

ウリエルはみんなのスキルからうまれたアルティメットスキルです。これは、彼らとの絆そのものと言っていいもので、力強さやとてつもない安心感を確かに感じました。

「能力の把握は済んだか、リムルよ。」

気づけば妖気の制御ができるようになっていたヴェルドラは、リムルに声をかけます。

その目の前の友を見て、力強さと安心感の理由はもう一つあった、とリムルは感じました。

「さてと、じゃそろそろ行くか。」

いい加減待ちくたびれているであろう、皆のもとへ戻ろうと促しました。

戻りながら、急に妖気を抑えられるようになったことに対し、談笑しています。

なんでも、ヴェルドラはヒントを聖典(マンガ)から得たらしいのです。

リムルとしては、できるようになって感慨深いものがあったようですが、まさかマンガから着想を得ていたとは思いもよらず、少し残念な気分です。

洞窟を抜け、外へ出るとなにやら騒がしい様子です。

どうやら、獣王国(ユーラザニア)の者達とリムルの配下が言い争っているようでした。

「しかし、もう三日だぜ!?あの伝説の暴風竜が復活したんだろ!?主が危険かも知れねえってのに手をこまねいているつもりかよ!?」

ユーラザニアのスフィアがリムルの配下に食って掛かっています。

ユーラザニア側はリムルの身を案じ、テンペスト側はリムルを絶対的に信じて命を守ろうとしていました。どちらもリムルのためを思っての行動です。

魂の系譜で繋がっているので、リムルが無事なのは把握できていますが、気配でヴェルドラの復活も感じているので迂闊な行動はとれません。

ユーラザニアの衆をそう説得し、自分達に任せてくれと言いかけたところ、ようやくリムルが声をかけました。

リムルの姿を見て、安堵の表情を浮かべる皆ですが、隣にいる見知らぬ男にはてなが浮かんでいる様子です。

一体何が起きたのか分からない皆に、リムルはヴェルドラを紹介しました。

「こちらヴェルドラ君です。ちょっと人見知りだけどみんなも仲良くしてあげてください!」

妖気を抑えているため、本物の暴風竜なのか皆半信半疑であり、人見知りと紹介され、恥ずかしそうなヴェルドラは改めて自身で自己紹介をやりなおします。

「我は暴風竜ヴェルドラ=テンペストである。我が貴様らの主であるリムルとどういう関係なのか気になっておることだろう!知りたいか!?知りたかろう!!」

話したくてたまらない様子のヴェルドラと同様、周囲も気になって仕方ないようです。

「友達だ!!」

一瞬固まった後、周囲には驚きの声が響き渡ります。

ヴェルドラと友達と聞いて、周囲は大いに盛り上がる反面、リムルはとてもは恥ずかしそうに赤面していました。

歓声が治まったところで、樹妖精(ドライアド)の二人はヴェルドラに挨拶をしています。

二人は精霊女王とはぐれていたところをヴェルドラが拾い、その代わりにジュラの森の管理を任されていたからです。

ですが、元々の姿しか知らないドライアドは現在の人の姿との違いに困惑しています。

そんな話をしていると、クレイマンの動向の偵察に行っていたソウエイが帰還しました。

ソウエイは場の雰囲気から、報告を後にしたほうがよいか?と気を使いますが、リムルはどうにか恥ずかしい空気を変えたかったので、好都合と言わんばかりに会議室に移動を始めます。

この場にいない幹部全員を会議室に集めるよう指示し、さらに、「ヨウム」や「カバル」らも招集するようにします。

報告の件もそうですが、今後の方針も同時に決めるため、大変重要な会議となります。

「ふむ。我にも手伝えることはあるか。」

復活したばかりのヴェルドラも友であるリムルのために協力的です。

その友の頼もしさに、リムルは表情を和らげるのでした。

最強の傀儡

「たった一人の魔人に殲滅させられるとは・・・。所詮は脆弱な人間の軍隊か!」

ここはクレイマンの居城で、自室にてクレイマンは憤慨しています。

理由は、先のファルムスとテンペストの戦争の件であり、その結果が自分の想定していたものではなかったためのようです。

その上、偵察に放っていた部下のピローネがディアブロに殺されています。

ディアブロは、ラーゼンとの戦闘中にラーゼンからの魔法攻撃を上空にはじきとばしていました。その時は、気づきませんでしたが恐らくそこまで狙っていたのでしょう。ディアブロの恐ろしさが垣間見えます。

クレイマンとしては、戦争を引き起こし、人間の魂を自身の魔王覚醒のための贄とするつもりだったのですが、リムルに全て持っていかれています。

自身の計画が失敗に終わり、荒れているところ、魔王「フレイ」が入室してきました。

フレイが持ってきたのは、クレイマンにとって嬉しい報せでした。

魔王「ミリム」が魔王「カリオン」を一蹴し、獣王国ユーラザニアが消滅した、というものです。

報告を聞いたクレイマンは先ほどまで荒れていたのが無かったかのように微笑みました。

「そうとも。計画の失敗は痛手ですが、私は力を手に入れた。絶対的な力(ミリム・ナーヴァ)を。」

ミリムはどうやらクレイマンの術かなにかで、完全に手中にされているようです。

報告を終えたフレイは、以前の借りもこれで返した、と言いそこを後にしようとしますが、クレイマンに引き止められます。

殺気まみれのミリムを連れ帰り、世話をしろと言うのです。

これ以上クレイマンに協力する気はない、ときっぱり言い放つフレイですが、ミリムがクレイマンの傀儡の今、ユーラザニアと同じようにフレイの国が消し飛ぶのは嫌だろう?と脅しをかけられました。

ユーラザニアが消し飛ぶところを自身の目で見ていたフレイに選択肢はありません。

クレイマンは切り札を手に入れてしまいました。もはや他の魔王を恐れる必要はありませんし、覚醒のための贄も簡単に手に入れることができるでしょう。

「これでようやく魔王レオンを始末できます。」

クレイマンは半ば目的を達成できていると言わんばかりの笑みを浮かべていました。

ですが、その前にクレイマンにはやっておかなければいけないことがあります。

それは目障ざわりな西方聖教会の処理です。

西方聖教会は謎が多く未だ謎が多いため、実態が掴めずにいます。

ですが、クレイマンがあの方と呼ぶ者の任務で、ラプラスが西方聖教会に潜入しています。

その結果次第で、今後の動きに大きく関わってくることでしょう。

潜入

任務で西方聖教会へと潜入しているラプラスは、何者かの攻撃を受けていました。

「ってぇ、なんやねんあんた!?神聖なはずのこの場所に・・・なんで吸血鬼族(ヴァンパイア)がおんねや・・・!」

なんと西方聖教会の根城には祭服を纏ったヴァンパイアがいたのです。

「口を聞くな、神の座を汚すゴミ虫が!!余が自ら裁くのだ、光栄に思いながら死ぬがよい!!」

西方聖教会の教議は魔物の殲滅であり、それが西側諸国に広く流布するルミナス教が掲げるものです。

にも関わらず、その聖地である霊峰の奥の院という西方聖教会の最重要といえる場所にヴァンパイアがいたのです。

「唯一神ルミナス様の御前を汚すことは断じて許さん!!消し飛べぃ!!」

慌てて逃げようとするラプラスですが、そのヴァンパイアの手から放たれた攻撃の速さに成す術はありません。

「こら・・・あかん。」

攻撃を食らったラプラスは、粒子状になって消えていってしまいました。

(C)伏瀬
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【転生したらスライムだった件】第72話「渦巻く陰謀」感想

第74話「渦巻く陰謀」いかがでしたか?

リムルの魔王化に伴い、様々なスキルを得ていたので、今後はもっと戦闘が派手になっていくのでしょうか?とても楽しみです。

また、クレイマンはミリムを傀儡としているのは非常に不服ですね。

是非とも、クレイマンをこらしめてほしいものです。

さらに、西方聖教会は魔物の殲滅を掲げているにも関わらず、最重要の場所に吸血鬼がいました。

どうやらそちらも何か裏がありそうで、今後も目が離せませんね!

【転生したらスライムだった件】第73話「魔人達の策謀」ネタバレ感想

ヒナタ・サカグチと西方聖教会

「西方聖教会」、その発端はルミナス信仰の国外布教を目的として、神聖法皇国ルベリオスの下に作られた組織でした。

現在、聖騎士団長「ヒナタ・サカグチ」の統率のもと、もはやルベリオスの下部組織とは言えないほどの影響力を得ましたが、ただ一人、神ルミナスの代弁者たるルベリオスの法皇、その言に耳を貸すと言われていました。

自由組合の総帥

「いやー・・・まじで死んだかと思ったわ。」

西方聖協会の調査を行っていたラプラスは、敵の攻撃によりバラバラにされてしまい、死んだかに思われましたが、なんとか生きて逃げ延びていたようです。

命からがら逃げてきたラプラスは、どこかの建物に窓から入っていると、目の前にはエルフのような姿をした女性がいて、目が合ってしまいました。

「ん?・・・誰やあんた?」

自身が窓から侵入しているにも関わらず、その女性に失礼な発言をしていますが、ラプラスを見てもその女性には何の驚きもありません。

初めて会うはずのその女性はラプラスにとって、どこか懐かしさを覚えるような、そんな不思議な印象を受けているとその女性はぼそっと馬鹿が、呟きました。

「こちらへどうぞ。主がお待ちです。」

驚くラプラスをよそに、何事もなかったかのように中へ案内をします。

建物の中を進むとその先にいたのは自由組合の総帥「ユウキ・カグラザカ」でした。

ラプラスは西方聖協会の調査をユウキに依頼されていたようで、その報告にこちらを訪れたようです。

といっても、その報告は余り芳しくなく、警備は厳重すぎて情報も余り手に入れられませんでした。

それを聞いたユウキは、付き合いが長いのかさらっと流すと、ヒントぐらい得られているだろう、と続きを促しました。

「なんや・・・苦労して手に入れた情報やから高く売りつけたろ思たのに。」

魂胆を見透かされたラプラスは諦めてユウキに情報を話し出すのと同時に、何も知らずにユウキの計画に巻き込まれているリムルへ同情を示しました。

「さすが・・・自由組合総帥の顔とひん曲がった野望を同居させとる変人、「ユウキ・カグラザカ」殿や。」

あれだけ友好的にリムルへ接していたユウキは裏の顔があるのでしょうか?

中庸道化連と繋がっていて、リムルを計画とやらに巻き込んでいる、ということはクレイマンとも繋がりがあるのかも知れません。

ラプラスがユウキを褒めるも、再度依頼料の引き上げはしない、と告げられ残念そうな様子です。

ですが、元々約束していた報酬はすでに用意しているようで、中庸道化連の会長の魂を人造人間に定着させた、と言うのです。

ラプラスも悲願の達成と言わんばかりの喜びようで、一刻も早く会わせて欲しい、と言った様子でした。

急かすラプラスを落ち着かせ、お目当ての人物が目の前にいることをユウキは告げます。

なんと中庸道化連の会長とは、ラプラスがここを訪れた際に会った女性だったのです。

以前と全く違う姿に、大爆笑してしまうラプラスですが、この対面は二百年ぶりの再会なのです。

さらに、この肉体を手に入れるまで10年もかかったと言うのです。外見や身体性能など多少の不便は仕方ありません。

先ほどまで、笑っていたクレイマンもさすがに感慨深く、中庸道化連の会長「カザリーム」をクレイマンもフットマンもティアも、もちろんラプラスもこの日を待ちわびていたのです。

「感動の再会に水を差すようで悪いんだけどさ。魔王カザリームの完全復活とは、まだいかないんだよね。」

ユウキが復活させたのは中庸道化連の会長カザリームは「魔王」であることが判明し、全盛期の力にはまだ遠く及ばないことがわかりました。

魔王カザリームは二百年前、魔王レオン・クロムウェルに敗北し魂だけの存在となっていました。

当時は「呪術王」と呼ばれていたほどの実力を持っていても、一度滅ぼされてしまい、すぐには力は戻らないようです。

「・・・だが、ボスに会えたのは紛れもない幸運だった。10年前、俺の魂は本当に消滅寸前だったからな。」

カザリームは、ユウキのことをボスと呼び、肉体を失って消耗していたところをユウキの体に憑依したことにより一命を取り留めたようです。

ラプラスの反応からも分かる通り、カザリームの元々の体とはまるで違う肉体のようで、肉体の性能も以前より遥かに劣ります。

それでも、魔導王朝サリオンの特別性で手に入れるのに、それなりに苦労があったようです。

事の経緯をラプラスに説明していると、また爆笑をし始めたラプラスはやはり、以前の口調・外見と現在の外見の違和感が大きいようです。

「・・・わかったわよ。力が戻りきらない今は秘書のふりも続けなきゃならないのだし、当分はそれらしくしゃべることにするわ。」

外見に合わせて、女性の口調に戻しても、またラプラスに笑われるカザリームでした。

話が一段落したところで、ユウキは本題に入りたい、と告げました。

ラプラスがここを訪れた理由、西方聖教会についてです。

ラプラスが潜入したところ、西方聖協会本部には怪しいものはなにもありませんでした。参拝者なども訪れるので、当然と言えば当然です。

そこでラプラスは、霊峰の頂上を目指すことにしました。

理由は、法皇しか入れない奥の院ならば、何かあるのではないか、と考えたからです。

すると、ラプラスの前に偉そうな身分の吸血鬼の男性が出てきました。

その男性は赤い光線をラプラスに向け放ち、ラプラスはバラバラにされてしまったのです。

ここまでが、潜入してきた西方聖協会の情報でした。

ここまで聞いて、疑問に感じる点があります。

それは、神聖なはずの場所になぜ吸血鬼族がいたのか?ということです。

しかも、その吸血鬼は協会の祭服のようなものを身に着けていた、と言います。

つまり、その吸血鬼は協会に属している可能性が高い、と言うことになります。

推測されるのは、ルミナス教のお偉いさんが魔人であるか、吸血鬼族であるか、ということになりますが、カザリームはラプラスが受けた攻撃に身に覚えがあったようです。

「それは血を魔粒子化させて放出する血刃閃紅波(ブラッドレイ)という技だ。魔王ヴァレンタイン、鮮血の覇王の二つ名で呼ばれる、奴の得意技だ。」

なんと、西方聖教会にいたのは、魔人どころではなく、魔王だったのです。

ラプラスが逃げてきたのは正しい選択で、全盛期のカザリームと同等の実力を持った恐ろしい男です。

カザリームは以前に魔王ヴァレンタインと何度か、殺し合いをしたようですが、その度に周囲の里や集落が巻き込まれ、その結果、話し合いや多数決で決着をつける風習ができた、と語ります。

これが魔王達の宴(ワルプルギス)の今の形の元で、三名の発議で開催される、というのは魔王が7柱だったときの名残でした。

カザリームの話から、その人物は魔王ヴァレンタインであったのは確定としても、なぜ奥の院にいたのでしょうか?

推測として、一番ありえそうなものは、法皇の正体が魔王だった、というものです。

当時のヴァレンタインは人間や亜人を餌としか見ていませんでした。そんな男が人類の守護者を名乗っているのは、何かしら理由があるのでしょう。

しかし、ここでもう一つ疑問が出ます。

どうやって、ヒナタ・サカグチの目を誤魔化しているのでしょうか?

法皇が魔王だとしれば、ヒナタは絶対に許しはしないでしょう。

ですが、この答えがでることはありませんでした。

これでラプラスの報告は以上になります。

自分の報告が終わったところで、話はクレイマンの覚醒についてになりました。

ファルムス王国をテンペストにけしかけた件です。

ユウキもこの件に絡んでいたようで、ファルムス王国は異世界人を大量に抱えており、力を持っていたため力を削いでおこう、と思い実行したようでした。

結果はリムル一人相手に全滅、ちょっと力を削ぐつもりがほぼ再起不能と言える状態です。

これを聞いたラプラスも驚きを見せ、ファルムス王国はテンペストを舐めて侵攻したのではないか?と考えます。

実際はそんなことは無く、二万の軍勢や策略は、リムルによって完全に潰されていました。

ユウキとしては、二万の軍勢を一人で滅ぼしたことよりも、自分がけしかけたヒナタと戦って、生き延びていることのほうが驚きです。

やはり、ヒナタに情報を伝えたのはユウキのようでした。

そして、この計画の本来の目的は人間の魂を集め、クレイマンが魔王として覚醒することにあります。

過程はともかくとしても、目的の魂自体は集まったのでは?と考えるラプラスですが、実際はそれすらも全てリムルが回収していました。

改めて考えると、クレイマンの覚醒のための魂の回収は失敗、獣王国ユーラザニアの方も、ミリムの暴走により住民が避難したため、そちらでも魂の回収は失敗しています。

「まぁでも、結果的にファルムスが負けてくれて好都合かな。」

失敗続きの状況に、ユウキは肯定的な意見です。

二万もの軍勢をたった一人で滅ぼしたリムルを西方聖教会が野放しにするわけがありません。

そして、それほどの魔人を相手にするのなら、ヒナタが出ないわけもありません。

ユウキの計画として、西側諸国を掌握するうえで、ルミナス教は最も邪魔な存在なのです。リムルが西方聖教会の目を引きつけてくれるこの状況は、都合がいいようです。

ユウキの想定外があるとすれば、ラプラスの情報のみで、西方聖教会をもっと調査したいのですが魔王ヴァレンタインの存在が邪魔で迂闊なことはできません。

ラプラスをもう一度潜入させるつもりだったので残念な様子のユウキですが、ラプラスから提案が入ります。

「魔王をおびき出すだけやったらなんとかなるんとちゃいます?クレイマン、魔王ミリム、魔王フレイ、魔王たちは三人の連盟で色々出来るんやろ?開けばいいやん、魔王達の宴(ワルプルギス)を。」

その案を聞いたカザリームとユウキは、それは名案と言わんばかりにその案を受け入れました。

裏で様々な思惑が交差する中、その矛先はリムルに集中しています。

「さて・・・どう動くんかな、あのぷにぷに。」

不敵な笑みを浮かべるラプラスでした。

尋問

テンペストの地下牢では、先日の戦争で捕虜にしたファルムス王が鎖に繋がれていました。

目を覚ましたファルムス王の下へシオンがやってきました。

ファルムス王は、戦争の際リムルの顔以外見ておらず、シオンがどのような人物なのかわかっていませんでした。

「こ、ここはどこだ!?余が誰かわかっておるのか!?余は大国ファルムスが王、エドマリス・・・」

シオンは騒ぐエドマリス王の話を遮り、現在の状況の説明を始めました。

「ここはジュラ・テンペスト連邦国の地下牢の一つです。私は盟主リムル様の第一秘書シオン、捕虜の尋問を仰せつかりました。」

自身が捕虜になっていることや、尋問を受けるなど思ってもいなかったのか、明らかな動揺を見せています。

シオンの役割はエドマリス王からファルムス王国の内情の全てを聞きだすことで、殺すこと以外は何をしてもいいと言われていました。

シオンはこの役割を与えられたことは、リムルから仕返しの機会をもらったのだと感じていますが、個人として殺されたことに対する怒りはあまりありません。

鬼人らしく、負けたのは自身の弱さ故と思っており、さらに蘇っているからです。

「ところでご存じですか?リムル様は人間がお好きです。私達配下の魔物がむやみに人間を傷つける事を良しとしないでしょう。」

唐突に話を変えたシオンに戸惑いを覚えますが、助かりたい一心で、それならば穏便に話そう、と持ちかけます。

強力するのはやぶさかではない、となおも続けているとシオンはさらに話を遮りました。

「とはいえ、やはり許せないこともあるのです。貴方の決断が・・・リムル様に人間を殺させた。リムル様のきれいな手を、お前は人間の血で汚させた!!千に刻んでもなお足りない。この世に生を受けたことを未来永劫後悔させて差し上げましょう。」

今まで見たことのないような激昂した表情で、自身の大太刀を持ち出しました。

地下牢にはエドマリス王の悲鳴が響き渡り、近くの牢に同様に捕らえられている西方聖教会の大司教にも聞こえています。

「貴方も教会について話すことがあるなら早く話した方が身のためよ?王を助けようとした・・・あの魔法使いのようになりたいのなら別だけれど。」

ミュウランは大司教へ助言をします。ミュウランの目線の先には、はじめにシオンに尋問を受けたであろうラーゼンの悲惨な姿がありました。

人としての原型を留めておらず、骨はむき出しでなおも動いていました。

そして、周囲にはまたも悲鳴が響き渡るのでした。

背負った業

尋問も一先ず終わり、エドマリス王の牢に足音が聞こえてきました。

シオンの足音ではないことを察したエドマリス王は、その足音の主に助けを求めました。

「そこの・・・娘?頼む、ここから出してくれ・・・。余が間違っていた。そなたらの主殿に釈明したい。」

尋問が余程堪えたのか、戦争でリムルの実力を見て心が折れたのかはわかりませんが、以前とは比べ物にはならない態度でした。

深く頭を下げ、謝罪とをテンペストの主であるリムルへの取次ぎを頼んでいますが、エドマリス王の目の前にいるのは主であるリムル本人でした。

「知ってるよ、俺の声をもう忘れたのか?」

戦場ではリムルは仮面をつけていたため、素顔を知らず、助けを求めてたのです。

わかりやすく、戦場でもつけていた仮面を目の前で付けて見せ、その姿を見たエドマリス王はその光景が脳裏によぎりました。

「釈明するなら俺より先にすべき相手がいるだろ。ファルムス王国の国民はこれから苦労するぞ。」

助けを乞うエドマリス王にリムルは重く冷たい現実を突きつきました。

「捕虜をどうするかは会議で決める。それまでじっくり考えるんだな。これは俺とあんたが背負っていく業なんだから。」

【転生したらスライムだった件】第73話「魔人達の策謀」感想

73話「魔人達の策謀」いかがでしたか?

裏で暗躍している中庸道化連とユウキがつながっていたとは思いもよりませんでした。

さらにユウキはリムルに好意的だと思っていたので、個人的にはショックが大きいところでした。

また、最後のリムルのセリフは、リムルの覚悟の重さと器の大きさを表していたのではないでしょうか?

二万もの軍勢を殺したにも関わらず、冷静な心とそれを受け止めるリムルの大きさが伝わってきたと思います!

問題は山積みではありますが、リムル達ならば乗り越えていけるでしょう。

【転生したらスライムだった件】第74話「人魔会談1」ネタバレ感想

来訪者

「クレイマンが軍を?」

リムルの元にソウエイから報告が入ります。内容は、クレイマンが軍を動かし、忘れられた竜の都を目指しているというもので、その数はおよそ3万とのことです。

忘れられた竜の都とは魔王ミリムの領地で、ミリムの身を案じていて、クレイマンと事を構えているリムルには大事な情報です。

と、報告を受けているとリムルは外からテンペストに向かってくる気配を感じ報告を中断しました。

リムルが確認に向かうと、そこにいたのはブルムンドのギルドマスター「フューズ」でした。

「お久しぶりです、リムル殿。間に合って良かった。」

リムルと対面したフューズはこう告げるのですが、リムルにとっては何のことかわかりません。しかも、フューズの他に部下らしきものや、本隊が合流するのはしばらくかかる、などと言うのです。

事態が飲み込めず動揺するリムルでしたが、さらにフューズは続けます。

「ブルムンド王国とテンペストの安全保障条約に従いはせ参じた。俺たちも対ファルムス軍の末席に加えてくれ。」

どうやらフューズはファルムスからの宣戦布告を聞き、テンペストへ急いで援軍に来たようです。

「は?終わった?」

テンペストがファルムスから宣戦布告を受けてから二週間も経っていないので、フューズが驚くのも無理はありません。

リグルドが配慮してブルムンドへ使者を送っていたようですが、行き違いになってしまったようです。

リムルは事の経緯を説明を説明しようとしますが、智慧の王(ラファエル)から、またも何者かの接近を伝えられます。30騎の集団で戦闘にいるのは武装国家ドワルゴンの王「ガゼル・ドワルゴン」でした。

次から次への客人に対応が忙しいな、と内心思いつつも魔王になったことにより進化した自身のスキル「万能感知」の範囲と制度に驚きを感じています。

「久しいなリムル。なんでも魔王になったらしいな。」

すでにガゼル王には情報が届いていたようで、リムル達が今から今後の会議を始める、と告げると自分も参加すると意思表示しました。

その会話を聞いていたフューズは、先ほどファルムスの件が片付いたことを知ったので当然リムルが魔王になったことなど知る由もなく、さらに驚愕させられてしまいました。

その狼狽の様子は相当なもので、すぐにリムルへ説明を求めますが、リムルは茶化して雰囲気をを和らげます。

しかし、事が事だけに真剣な面持ちでなおも追求するフューズに、リムルはため息をつき説明しようとしますが、ガゼル王がその説明を遮り発言します。

「待て、リムルよ。知っているのなら俺にも聞かせて欲しい。ファルムス王国軍が進軍中、なぜか行方不明になったその理由をな。」

この質問にリムルは当然戸惑います。

なぜなら、ガゼル王への報告はベスターを通じて正しい情報を伝えているはずだからです。

しかしガゼル王は、進軍中のファルムス王国軍がなぜか突然観測できなくなった、現在その原因を調査中である、とベスターから聞いていると告げます。

ここで、ようやくガゼル王の意図がリムルにも伝わりました。

ベスターは正しい情報をガゼル王に伝えているはずです。ですが、気分次第で万の軍勢を滅ぼせる個人は発射までに複数の手順を要する核兵器以上に恐ろしいのです。

つまり、ガゼル王はリムルのために二万の軍勢を虐殺したことを有耶無耶にしようとしているのでした。

やっと理解したリムルは、フューズにあからさまな誤魔化しでファルムス軍は行方不明なんだ、と伝えました。

一瞬、いやいや、と表情を見せるフューズですが深くため息をついた後、急いで来たため幻聴が聞こえたのだろう、と納得します。

なにやら察して合わせてくれたようです。

ですが、今後の対策会議には自分も参加する旨を伝えます。決してリムルへの信用がないわけではないですが、傍観する気もないということのようです。

その様子を見ていたディアブロは、自分は記憶の改竄が得意なので、もしものときには自分に任せて欲しい、と笑顔で申し出ました。

しかしこの提案にリムルは、フューズは別にいいが、もし彼の部下が聞いていたら頼む、とディアブロに伝えます。

それだけリムルはフューズを信頼していて、また、フューズも同様にリムルへの信頼は厚いのです。

ファルムス側の言い分を信じていれば条約があっても何とでも言い訳できたはずでした。それをせず、律儀に駆けつけてくれたのは、二人の関係あってのものだからです。

ガゼル王にもそれが伝わったようで、フューズを見定めているような様子でした。

「これはこれは地底に隠れ住むのがお好きな帝王ではありませんか。」

そんな話が一段落したと思っていると、またも新たな訪れがあるのでした。

親馬鹿

「意外ですな、臆病な貴方が魔王に肩入れなさるとは。」

訪れた男はガゼル王に向け、そう話します。

ラファエルから報告がなかったため、感知をくぐりぬけてきたのか?と驚きをあらわにしたリムルですが、敵対反応がなかったため報告しなかったようです。

彼の正体は「魔導王朝サリオン」の使者で公爵家の当主「エラルド」という者です。

そんなお偉いさんがどうしてわざわざテンペストにと考えていると、

「リムル、そうですか貴殿が・・・。貴様が私の娘を誑かした魔王リムルですか!!」

急な豹変をして、魔法をリムルに向けるその男ですが、リムルには何のことだか全く理解できず動揺を隠せません。

火炎および爆発の合成魔法で、魔法制御を自前で行う高等術式が展開されている、とラファエルより説明がありますが、それどころでなく一刻も早く止めなければなりません。

などと考えていると不意にエレンがその男の頭を引っぱたき、止めました。

「ちょっとぉ、何しに来たのよぅパパ!」

驚きの事実ですが、この男はエレンの父のようです。

「いやー申し訳ない。娘が魔王に攫われたと報告を受けたもので慌ててしまったのです。」

先ほどの様子とは一転、にこやかに告げますが、すかさず部下から報告はきちんとしたと言われてしまい、早とちりであったことが判明しました。相当な親バカのようです。

その様子を見ていた、リムルは先ほどの魔法に違和感を覚えたようですが、一先ずエレンから父の紹介を受けています。

魔導王朝サリオンの大公爵の「エラルド・グリムワルド」であると自己紹介を受け、訪れた用件を改めて尋ねます。

今後のテンペストとの付き合い方を考える上で、自分の目で見たかったのだと聞かされました。もちろん、娘が気に入ったという人物を見てみたかったのもあるようです。

それを聞かされたリムルは、自分の判定はどうなのか?とエラルドに問いかけます。

返答は、まだ、わからないというものでした。ただ、はったりが通じる相手ではないと感じたようです。

先ほどリムルは、魔法に対して違和感を感じていました。魔法の正体は見せかけで必要最低限の魔素量に満たないハリボテだったようで、違和感の正体はこれでした。

リムルを試す目的のもので、色々と思慮深い人物のようです。

二人の話が一段落したところで、エレンはガゼル王に挨拶をしていましたが、エラルドはその様子にも憤慨していました。

先ほどのやりとりから一転、この様子なので出来る男なのか、ポンコツなのか判断に苦しみます。

不意に、思い出したようにエラルドは自分も先ほど言っていた会議に参加させて欲しいという旨を伝え、リムルも承諾しました。

しかし、予期せぬ来客で人数が増え、いつもの会議室では入りきらないため、別の場所を用意しなければいけない、なんてことを考えていると漫画を読み終えたヴェルドラがその場に現れました。

来客中だから後にしてくれ、と言うリムルですがヴェルドラの名を聞いた他国の者たちは固まってしまいました。

そういえば、すっかりヴェルドラの紹介を忘れていました。

「ヴェルドラである!暴風竜と呼んでも良いぞ!」

にこやかに自己紹介したヴェルドラに、一同は再度固まった後、

「暴風竜ヴェルドラ!?ちょっと待て話があるぞリムル!!」

一同は当然ながら大混乱になり、リムルは質問攻めに合うのでした。

五カ国の会談

「・・・なるほどな。」

一同に事情を説明し終え、ようやく色々なことがわかってきました。二年前のヴェルドラの消失はリムルの仕業であったことも周囲には初めての情報で、合点がいったようです。

元々の趣旨であった、新たな魔王出現に加え、暴風竜の件まで増えてしまい他国の者たちは頭を悩ますばかりです。

それに、ヴェルドラが復活が他に知れれば西方聖協会が黙っていません。何せ暴風竜を特に敵対視しているからです。

さすがに西方聖協会まで敵対する可能性が出てしまった今、ドワルゴンとの間に盟約があるとはいえ、デメリットが大きすぎます。

そのことを不安に思ったリムルは、自分達と西方聖協会が事を構えることになればどちらに付くかガゼル王に問いかけました。

ガゼル王は呆れながらも、

「ドワルゴンは西方聖協会に何の義理もないのでな。友好国であるテンペストを支持しない理由はない。」

こう言います。兄弟子がこう言ってくれたことで心強いと、にこやかになるリムルでした。リムルの周囲は義理堅い人物が多いです。

味方である、とい発言をしたガゼル王は続けて、リムルに対して苦言を呈します。

「貴様はもう少し腹芸を覚えよ。これが密談で良かったぞ・・・」

先ほど大っぴらにファルムス軍虐殺の件を話そうとしたことや、ヴェルドラの件について素直すぎたことに不安を覚えていたようです。

安心したのも束の間、エラルドからは他の国はどう判断するかわからない、と告げられます。

いくら戦争だったとしても、戦況が一方的過ぎました。事情も経緯も知る術のない大衆から見れば、二万の死者を出した魔王は邪悪に映ります。

西方聖協会が「神敵」に認定したならば、西側諸国は敵に回ると考えたほうが良いでしょう。

そうなれば、現在テンペストと友好的な国の立場も厳しいものになりますので、リムルとしても好ましくありません。

自分一人で判断するには大きすぎる問題と判断したリムルは、魔導王朝サリオン代表であるエラルドに国としての考えを問いかけます。

エラルドは現段階では判断しかねる、といった様子ですが、一つだけ責任を感じている所がありました。

リムルに魔王化を促したのはエレンなのです。その事実や戦争被害の状況が広まればサリオンの立場も非常に悪くなります。

しかし、そんな懸念もガゼル王の発言によりなくなります。

「事実は広まることは一切ない。死体は全て消え捕虜を除いて生存者もいない。そうだなリムル?」

要するに、証人や証拠は一切ないのだから、こちらの都合の良い話をでっち上げるということです。

ガゼル王の真意を読み取ったリムルは、覚悟を決めその提案に乗るのでした。

五カ国の会談

「では既に皆様自己紹介はお済みですので、各国の代表者様のご紹介だけさせていただきます。」

シュナの司会により、本格的に会議が始まりました。

武道国家ドワルゴンからはガゼル王、獣王国ユーラザニアからは三獣士筆頭アルビス、ブルムンド王国からはフューズ、魔導王朝サリオンからはエラルド、最後にテンペストからリムルといった面子です。

一応、顧問としてヴェルドラにも参加させているのですが、ヴェルドラが話すと場が混乱するので、聖典(漫画)を渡しています。というか既に没入しています。

会議を始めるにあたり、まず、リムルは自分の今までの経緯やヴェルドラとの縁を各国に説明します。

ありのままを掻い摘んで話したのですが、公表する筋書きは当然違うものになります。

リムルの望みが人と魔物の共存共栄である以上、虐殺者に友好を求められても応えてくれるものはいないからです。

それは当然、リムルの部下がやったとしても同じことです。

ですが、「暴風竜」の仕業なら話は別です。その存在はもはや伝説でありその行いは紛う事なき「天災」だからです。

各国もその案を支持しますが、一つだけ不安があります。

この筋書きは自身の盟友であるヴェルドラに全責任を負わせるということなのです。

ですが、

「何の問題もないぞ。我はお前の業を共に背負うと決めていた。暴風竜の威、存分に使うがよい。」

ヴェルドラの心強い言葉に安堵の表情を見せるリムルですが、この筋書きにはもう一つ問題があります。

ファルムス王国の捕虜の口から真実が語られる可能性があるからです。

「ファルムス王国には一度滅んでもらう。」

リムルにはすでに考えがあるようです。

この発言は、ファルムスに戦争を仕掛けると思わせられますがある意味ではその通りです。

まず、現王を解放しテンペストへの賠償を行わせます。ファルムス王国は一部の貴族を除いて腐敗しているので素直に賠償に応じないと思われます。

つまり、賠償問題をきっかけにファルムス王国内に内戦を起こさせるのが目的だということです。

「一度滅ぼし、新しい国に生まれ変わらせる。英雄ヨウムを新たなる王に据えてな。」

リムルから既に聞かされていたヨウムは、覚悟を持った表情でその場に立ちました。

その様子を見たガゼル王は、試す意味でヨウムに威圧をかけ、ヨウムもそれに耐えました。

「フン・・・根性だけは大したものよ。だが覚悟はあるのか?」

ガゼル王からの問いかけにヨウムは答えます。

「・・・俺を信じて託されたこの役目、やるからには全力でやる。惚れた女の前でカッコつけたいのは男として当たり前だろ?」

ヨウムの発言にガゼル王はあっけにとられ、ミュウランは赤面しています。

また、恋敵であったはずのグルーシもヨウムをフォローし、いずれ、ガゼル王のように英雄王と呼ばれる日が来るまで見届ける、と言い切りました。

そこまで周囲の期待が厚いのと、本人の根性を見てガゼル王も納得の意を示しました。

一段落したところで、他に意見はないか、とリムルは周囲に問いかけます。

するとフューズから、この件にブルムンド王国から協力できるかも知れない、と返答がありました。

というのも、ファルムス王国にはブルムンド王の遠縁当たる人物がいて、その人物ならヨウムを王にする計画の助力を得られる、ということなのです。

などと、続々と各国から案が出ていると、不意にエラルドが笑い出しましました。

国を跨いで本音で語り合う様を見ていて、警戒していた自分がバカらしくなったようです。

自分も本音で語ろうと遠まわしに言いだしたエラルドはフューズに問いかけました。

「貴国はなぜテンペストと国交を結んだのかね?」

質問の真意が読みかねるフューズですが、エラルドはブルムンド王の真意が知りたい、と続けます。

ブルムンド王国は控えめに言っても大国とは言えない国です。ならば、自国に有益な取引だけ行い、西方聖協会の出方を伺ったほうがリスクが少ないはずです。

当然フューズもそれは理解していますし、ブルムンド王国の貴族も同意見だったようです。

では、なぜテンペストと国交を結んだのか、というと

「仲良くせんと我が国が滅ぶじゃろうが・・・!!」

というブルムンド王の一言で説明できます。

豚頭帝(オークロード)や暴風大妖渦(カリュビディス)を退けるほどの軍事力を持っている国と敵対などは、御免だという考えです。

つまり、簡単に言うと、生存戦略として西方聖協会よりテンペストを選んだということです。

この分かりやすい説明にエラルドも納得しました。

このやりとりを見ていて、ガゼル王は他国を試さなくても、自分がリムルを信じているのだからそんなに疑う必要はなおだろう、と主張します。

しかし、それだけ魔物の国との国交とはそう簡単に決めれるものではないのです。

エラルドなりに結論は出たようですが、最後にもう一つ尋ねたいといいます。

神妙な面持ちにも関わらず、もったいぶらずにはやく応えて!とエレンからツッコミが入れられおどおどした様子のエラルドですが、

「それでなんだって?聞こうか?」

リムルが唐突に凄まじい魔王覇気を発し、エラルドに問いかけます。

「・・・では魔王リムルよ。貴殿は魔王としてその力をどう扱うおつもりなのか?」

魔王覇気に気圧されながらも、質問し場は静まり返りました。

「なんだ、そんなことか。俺は望むままに暮らしやすい世界を創りたい。出来るだけ皆が笑って暮らせる豊かな国を。・・・ま、そんな簡単にはいかないだろうけどな。」

リムルの大それた理想にエラルドは驚愕します。そんな夢物語のようなことを本気で実現出来ると思っているのか?と率直に言います。

「もちろん。そのための力さ。力なき理想など戯言だし、理想なき力は空虚だろ?ただ力のみを求める趣味なんざないんだよ。」

にこやかに、しかししっかりとリムルは言い切りました。

これにはエラルドも面食らいますが、それと同時にリムルの大きさに気づいた様子です。エレンが懐くことや魔王覚醒に至れたのも納得といったところです。

このやりとりで決定的にテンペスト及び、リムルを認めたエラルドは正式に魔導王朝サリオンの使者として国交の樹立を宣言しました。

どうやらエラルドは初めからテンペストに付くことを決めていたようです。ヴェルドラがいる国と敵対する、というのは選択肢としてあり得ません。

こうして各国がまとまりを見せ、会談は一旦休憩になるのでした。

魔王達の宴の兆し

リムル達が今後の会談を行っている頃、別の場所でも大きな問題が進行しています。リムルが魔王を名乗ったことは、すぐに伝わっている模様です。

それを理由に魔王達の宴(ワルプルギス)の提案がクレイマンにより行われ、ミリムも賛同している様子です。

「ミリム・・・。相変わらずバカの考えはわからんな。」

ミリムの知り合いと思わしき男はそう呟きました。

 

 

(C)伏瀬
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まとめ:【転生したらスライムだった件】第16巻第71話~74話まで!ミリムがマリオネットに!

今回は【転生したらスライムだった件】第16巻第71話~74話まで!ミリムがマリオネットに!について紹介しました!

前回ファルムス王への尋問など済ませ、ようやく落ち着いたかと思われた中、テンペストに訪れる集団の姿がありました。

一体何者なのか、どんな意図なのか、気になるところです。

最後までご愛読ありがとうございました^^

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