コロナの現状③~看護師が赤裸々に告白します~
今回は、コロナの現状③ ~看護師が赤裸々に告白します~ について紹介します。
私は現在、総合病院で働く病棟看護師です。
コロナ禍で実際に働く立場として今の医療の現状を詳しく伝えられればと思います。
今回は、コロナ感染拡大に伴い病院では、面会全面禁止となり、その中で入院している患者さんや家族の対応などについてのお話です。
今まで皆さんは、家族や親戚、知り合いが入院した際にお見舞いに行った経験はありますか?
おそらく多くの人が面会者として病院に行ったことがあると思います。
今まで元気だった家族や親戚が病衣を着てベッドに居る姿を見ると、違和感があり、あまり良い気分ではないと思います。
元気な姿を知っているからこそ、弱っている姿を見たくない、受け入れたくないといった さまざまな感情があると思います。
病気や怪我で弱っている姿の人をみれば誰だって心配になり、何度も面会に行ったりするのが普通だと思います。
それでは、コロナ流行中の今の病院の現状は、どうなのでしょうか?
コロナの現状③ ~看護師が赤裸々に告白します~ 「面会制限」
コロナが流行し出した2020年冬から徐々に面会の制限がされるようになりました。
入院している患者さんは、病気や治療の影響で免疫力が低下しているため、患者さんを守るためには、外からウイルスが入るのをできる限り防ぐ必要があるからです。
この頃から面会者を制限して家族の中でも一緒に住んでいる家族のみなどの面会制限がされていました。
市外からくる親戚の方の面会は断り、一緒に住む家族でさえ面会時間を必要最低限にするようにしていました。
それでも家族が入院するとなると、心配で遠くからお孫さんや遠い親戚が面会に来たりしてよくトラブルになったものです。
こちらもわざわざ遠方から来ていただいたので会わせてあげたい気持ちはあるのですが、患者さんの体を考えると心を鬼にして断らなければいけない状況でした。
病院は集団生活のため、1人でも感染してしまうと次々と感染が拡大し、とても大変になります。
患者さん自身も会いたがっていることが多いのでそのような時は、電話を繋いで声が聞けるようにしたり、テレビ電話ができる場合は、テレビ電話にて声だけでなく、表情もわかるように工夫していました。
入院生活は、患者さん自身、不安やストレスを多く感じています。
環境の変化に適応できなかったり、体調が悪かったり、今後についての不安を抱えていたりと、精神的に不安定な状態です。
そのような時に家族が面会に来てくれると、安心して表情が柔らかくなったり、明るくお話をするようになる患者さんが多いです。
家族の面会は、それほど大きな影響力があるものなのです。
しかし、コロナが流行し出してからは、家族と直接会える機会もなくなってしまいました。
その影響からか患者さんの気持ちにも悪い変化が起こってしまいます・・・。
コロナの現状③ ~看護師が赤裸々に告白します~ 「抑うつ症状」
コロナが流行し、感染が広がるたびに面会制限は厳しくなり、2021年になった時点では面会全面禁止となりました。
例え同居している家族であっても面会はできず、洗濯物などの届け物は、看護師を通して患者さんに渡されます。
手術をする際や退院時も家族は、1人までしか病棟に上がって来れず、直接病室に行くことはできないのでディルームにて待機してもらいます。
患者さんの中には、思うように回復せずに入院が何か月にもなり、その間ずっと家族と会えず、病院で治療している方も多くいます。
そのような面会制限の中で私が感じることは、精神的に不安定になり、鬱症状が出たり、急に泣き出したり、逆に怒ったりと情緒不安定な患者さんが本当に増加していることです。
普通に入院するだけでもストレスがかかるのにコロナ禍の殺伐とした病院の中で家族とも会えずに治療をしていたらそりゃあ、精神的にも不安定になるのは、当たり前だと思います。
精神的なケアをしてあげたい看護師も人手不足のため、思うように患者さんとの時間を取ってあげられない。
本当に悪循環だと思います。
コロナの現状③ ~看護師が赤裸々に告白します~ 「全面面会禁止の果て」
全面面会禁止となり、私が印象に残っている患者さんの事例を紹介いたします。
その方は、60歳代前半男性で消化器の検査のために、入院となりました。
入院してきたときは、まだ若いため、姿勢正しくすたすたと歩き、明るく元気なお父さん、と言った印象の方でした。
入院時に家族に見送られ、
「頑張ってきてね。元気に帰ってくるのを待ってるよ。」
と奥さんが優しく微笑みます。
患者さんは、照れくさそうに
「大丈夫だ。すぐに帰るから!」
と元気いっぱいに答えていました。
それから検査が終わり、数日経った頃でした。
患者さんの病態が急変します。
高熱にて呼吸状態も悪くなり、酸素投与が開始されました。
熱を下げるために抗生剤の点滴を投与しますが、どの種類もなかなか効果が出ず、血液データは悪くなる一方です。
その患者さんは、敗血症を起こしてしまっていたのです。
敗血症とは、感染症がきっかけとなり、血液を巡り、全身に細菌がまわり、全身の臓器に障害を起こし、ショック状態になると命を起こすこともある恐ろしいものです。
原因不明なことが多く、一度敗血症を起こしてしまうと急変して亡くなられる方が多いです。
医師から家族に
現在敗血症を起こしており、重篤な状態です。抗生剤を何種類か試していますが、効果がなく、あと一種類最後に強めの抗生剤や血液製剤を使用し、効果がなければ命を落とす可能性が高いです。
と説明がありました。
それを聞いた妻は、
あんなに元気だったのにそんなことってあるんですか。
元気に帰ってくるって言ってたのに。
と涙を流していました。
コロナ禍の現状では、全面面会禁止のため、会えるのは、状態が悪くなり、個室に移動してからになってしまいます。
久々に患者さんと面会できた奥さんは、患者さんの苦しそうな表情、声も出せないほど息遣いが荒い旦那さんをみてその場で泣き崩れました。
元気だった頃の患者さんしか知らない家族からしたらいきなりこのような重篤な状態になった患者さんをみれば衝撃的でショックを受けることは、明らかです。
その数日後、患者さんは息を引き取りました。
この時私は、
コロナ禍でなければもっと早い段階で面会させてあげられたのに。
コロナ禍じゃなければもっと長く、そして近くで付き添いさせてあげられたのに。
と行き場のないやりきれない思いでいっぱいになりました。
誰も責めることはできない。
だってみんな被害者だから。
コロナが悪い。
そんなことを思って悲しくなりました。
まとめ:コロナの現状③ ~看護師が赤裸々に告白します~
今回は、コロナの現状③ ~看護師が赤裸々に告白します~ について紹介いたしました。
今回のお話では、悲しい気持ちになってしまった方もいると思いますが、これが今の医療現場の現状なのです。
私たち医療スタッフもさまざまな葛藤を抱えて働いております。
まさかこんな状況になるとは、皆さん思いもしなかったと思います。
私は今でも日々働く中でこれが夢だったらいいのに。
早くもとの世界に戻りたい。
なんて思ってしまい、現実逃避してしまいたくなることがあります。
それくらい悲惨な状況なのです。
本当に早くコロナが収束することを祈ります。
今回も読んでいただき、ありがとうございました。
次回もお楽しみに♪
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